哲多町新エネルギービジョン策定委員会の委員長として、ビジョン作成に携わりました。

報告書は139ページありますが、概要版を作成しましたので掲載します。

哲多町新エネルギービジョンの策定に当たって

 20世紀の人類は科学技術の発展により豊かで快適な生活を手に入れました。しかし、その代償も大きく、
豊かな自然環境を失っただけでなく、豊かな心も失いつつあるように思います。21世紀は「環境の世紀」と
言われていますが、今世紀は環境への取り組みをめぐり人類の未来を決める世紀になるかもしれません。
 ところで、人間社会は自然界から得られる資源とエネルギーで成り立っていますが、日本は資源をはじめ
エネルギーの大部分を輸入に頼っていることから、日本社会は他国の資源やエネルギーで成り立っている
ことになります。そのような中、化石燃料は近い将来の枯渇が予測され、我が国では社会基盤維持のため
エネルギー供給の安定性向上が大きな課題となっています。そのため、輸入化石燃料への依存を減らし、
国内で生産できるエネルギーを増やすための方策が必要となっています。また、地球温暖化はもはや危機
的といってよいほどの様相を見せ始めており、温室効果ガスの排出抑制は私たち人類の生存にとって避け
て通ることができない課題となっています。
 このような背景から、哲多町においては地球温暖化対策およびエネルギー対策の一環として新エネルギ
ービジョンを策定することになりました。本新エネルギービジョンは哲多町にある自然エネルギーやバイオマ
スエネルギー等の利用可能性ならびに利用方法に関し、その方向性を明らかにするために策定するもので
す。
 本新エネルギービジョンの策定に当たっては、新エネルギーの導入だけを考えるのではなく、新エネルギー
を導入するためには、地域に受け入れられること、地域の活性化につながること、利益が地域に還元される
ことが重要であるという考え方を基本としました。そのため、町民の皆様にアンケート調査をさせて頂き、その
結果を基に町民の皆様のご意見をできるだけ反映させるように務めました。また、委員会としても多くの議論
を積み重ね、町内の現状を反映させることに務めました。その結果、本新エネルギービジョンでは太陽光発電、
太陽熱利用、畜産バイオマス発電、クリーンエネルギー自動車の導入、中小水力発電が選定されました。
これらのプロジェクトを推進するためには解決が必要な課題もありますが、町民や事業者および行政の協力・
連携のもとに、石油代替エネルギーへの転換、環境負荷の低減、環境調和型社会と自立した地域社会の構
築を目指して、プロジェクトが実現され、哲多地域が人と自然に優しい地域として益々発展する事を期待する
次第です。
 最後に、本新エネルギービジョン策定に際して的確なご意見、ご指導を賜りました委員、オブザーバーの皆様
および多大なご協力を戴きました哲多町職員の皆様とアセス(株)の方々に厚くお礼申し上げます。

                                        平成17年2月吉日
                                        哲多町新エネルギービジョン策定委員会
                                                   委員長 井 勝 久 喜